MIA症候群

近年、栄養障害(Malnutrition)、炎症(Inflammation)、動脈硬化(Atherosclerosis)を同時に合併する透析患者さんが多い点から、MIA症候群として捉える考え方が提唱されています。

これら3つを繋ぐのは、サイトカインとよばれる生体内の信号伝達物質です。
MIA症候群

慢性的な感染症や心不全などによって免疫系が刺激され、サイトカインの放出が増えます
これによって異化が亢進され、栄養状態の悪化や動脈硬化の進行に影響するという考えです。
また、尿毒症病態にともなう代謝異常や不適切な食事療法は、動脈硬化を助長しやすいと考えられています。

また透析液清浄化が達成されていないと、透析液からパイロジェン(外因性発熱物質)やエンドトキシンが流入し、炎症性サイトカインの産生を介して体タンパク質の異化を促進する事になります。
その為、しっかりした清浄化システムを構築する事が大事になります。
そしてダイアライザーの膜の生体適合性十分な透析による尿毒素の除去などによって、栄養障害を改善する事が大切だと言われています。

透析専門ナース

透析専門ナース
著者:稲本 元
出版社:医学書院

分厚くは無いですが、内容がまとまっているように思います。
特に低リン血症について触れているのが気にいってます。
ただ、看護師向けにまとめられているせいか、技士的な内容は薄いでしょうか。

血液回路のルアーロック

ウチの回路では、静脈圧ポート、静脈側チャンバ液面調節ライン、静脈側薬液注入ライン(?)と、ダイアライザ接続部、動静脈先端部が一応はルアーロック式、いわゆるねじ込み式になってます。
抗凝固剤注入ラインはねじ込み式ではありません。
しかし・・・

どうも『すべての接続部をルアーロック式にしなさい』、という方向になってきている様です。
というのも、接続部が甘いと何かの拍子に外れて、そこから血液がだだ漏れになり、かつ警報装置にかからない場合があるからだと思われます。
実際、そんな事故が他施設で起こったという話も聞きます。

そんな安全面から考えても、確かにロック式が望ましいのですが・・・
そうなると、使用するシリンジすべてをルアーロック対応に変更しないとあまり意味が無いと思います。
ロック式の回路に、普通(非対応)のシリンジをつけても恩恵は得られないですし。
しかし、実際には注射薬でルアーロックに対応しているのは、ウチで使用している中では、エポジンとネスプくらいです。
ルアーロック式でなければいけないとなった時、他の薬剤をどうするものか、不安材料にしかなりません・・・
回路を変更するのであれば、全ての注射薬に使われているシリンジを、少なくとも透析中に使用するものについては、ルアーロック対応式に変える必要性があるのでは・・・
ん〜・・・どうなる事やら・・・

エネルギー消費量の測定

栄養管理においてエネルギー必要量の評価は重要視されており、特に重症患者においては、補給不足を最小限にする一方で、過剰投与を防ぐ必要があるとされています。

エネルギーの補給不足では体重減少、栄養状態が低下する結果、全身状態の回復や創傷治癒の遅延、感染症のリスク増大をもたらし、逆に過剰投与では体重増加、肥満および生活習慣病の発症や状態悪化重症患者では高血糖、呼吸障害、代謝性合併症の問題も提起されています。
疾病の種類や程度によってエネルギー消費量が変わるため、個人個人のエネルギー消費量を実測することが求められています。

総エネルギー消費量TEETotal Energy Expenditure)は、基礎代謝、食事誘発性熱産生、身体活動によるエネルギー消費量の総計です。
侵襲性疾患がある場合には、その侵襲の程度によりエネルギー消費量が亢進します。
その為、病態や身体状況の変化に応じて実測し直す必要があります。
また、体温が1℃上昇すると、エネルギー消費量は平均13%増大するようです。
その他に、甲状腺ホルモン、下垂体ホルモン、副腎皮質ホルモン、副腎髄質ホルモンなど内分泌亢進や、重症炎症性疾患によっても増大します。

エネルギー消費量の測定には、直接熱量測定法、関節熱量測定法、二重標識水などがあります。
関節熱量測定機があれば、これが第一選択となります。
測定が困難な場合には、先行研究から得られた推算式を利用する事ができます。
広く用いられているのは、ハリス・ベネディクトの式で、算出した基礎代謝量を活動係数、ならびにストレス係数で補正します。

 男性:66.5+(13.8×実測体重〔Kg〕)+(5.0×身長〔cm〕)-(6.8×年齢〔歳〕)
 女性:655.1+(9.6×実測体重〔Kg〕)+(1.8×身長〔cm〕)-(4.7×年齢〔歳〕)
〔活動係数(AF)〕
 1.0:寝たきり      1.1:寝たきり・覚醒
 1.2:ベット上・安静  1.3:ベット以外活動あり

〔ストレス係数(SF)〕
 1.1 :手術軽度  1.2 :手術中等度
 1.5 :手術高度  1.35 :外傷・骨折
 ※熱発では、1℃上昇毎に0.2増


血液透析患者における静止状態でのエネルギー消費量は性別、年齢、BMIを一致させた健常人に比べ、有意に高値であると報告されています。
さらに、透析日では、8〜16%増加するといわれ、必要カロリーが高いとされています。
一方で、腹膜透析を行っている場合の消費量は差がないと報告されています。


参考・引用文献
NST完全ガイド・改訂版:東口高志、出版社:照林社
EBM血液浄化療法:編集:飯田喜俊、二瓶宏、秋澤忠男、椿原美治、出版社:金芳堂

ダイアライザの再利用

日本では認められていない『ダイアライザの再利用』ですが、国によっては止むを得ず再利用しているところがあるようです。
2000年の文献ですから、少し情報が古いですがご容赦を。

米国において、1995年におけるダイアライザの再使用率は、施設比率で77%患者比率で83%とされています。
また、その平均使用回数は15回で、平均最大使用回数は36回にのぼり、192回再利用した施設もあったとか。
日本では考えられないですね。
しかし1992年のデータでは、スペイン、ドイツで5%、イギリス10%、、ベルギー22%、ポルトガル66%、ポーランド78%、ブルガリアはなんと100%です。
ただ、回数は3、6、9回が多いようです。
再利用の為の自動装置もあるようです。

方法としては、透析終了後に洗浄と逆濾過清浄化を行い、膜性能の評価(限外濾過、アルブミン漏出量、漏れ)がされて、消毒という工程で行われます。
洗浄は、4%ホルマリンで20℃にて24時間1%過酢酸で20℃にて11時間などの条件で行われている様です。

ただ、その成果としては、生体適合性の面でも利点は挙げられていません
感染症のリスク、あるいは敗血症の頻度などが増加すると言われています。

しかし・・・再利用の主たる理由は経済性にあるとされています。
なかなか、難しい問題ですね・・・
それこそ日本でも他人事ではない、かも?
もしかしたら数十年先には、再利用式ダイアライザが当たり前になってるかも・・・?
なんて、想像する事があります。
その前に、透析が無くなって、もっと良い腎代替療法が考え出される方が早いでしょうか・・・

参考・引用文献
EBM血液浄化療法:編集:飯田喜俊、二瓶宏、秋澤忠男、椿原美治、出版社:金芳堂

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